朝刊各紙の見出しは、「維新圧勝」「都構想実現へ」の言葉で飾られています。大阪市長選・知事選ともに、「政党連合」は見るも無惨な敗北です。政治や社会の閉塞感を打ち破ってくれるものと信じ、多くの人々が投票用紙に「橋下」「松井」の文字を記しました。6年前の「小泉劇場」の二幕目が、「橋下劇場」として人々の心をとられたのでしょうか。演出・主役を務める橋下徹氏の才能と手腕を認めざるをえない選挙結果でした。しかし、「自民党をぶっ壊す」と有権者の耳目を聳動(しょうどう)させた小泉劇場の終演後、多くの国民が「いったいあれは何だったのか?」と感じたように、橋下劇場も同じ道を歩むのではないか…と、私には思えてなりません。
それに、「独裁」攻撃への反論として、橋下氏は「民主主義の時代に独裁などあるはずがない」と言うのですが、ヒトラーはワイマール憲法によるドイツ民主政治の下で権力を握りました。橋下氏の滑らかな弁舌には、このような強弁・奇弁が混じっていることも大いに気になるところです。このことをテレビ番組で指摘した浜矩子さん(同志社大学大学院教授)は、新しい知事・市長コンビを「メドベージェフとプーチンのように見える」とも言っているそうです。
とはいえ、国政参加を示唆して地方自治法の改正を迫る橋下氏の狙いが、地方自治制度の改編につながることは注目します。「郵政改革」と同種の看板のようにもみえる「大阪都構想」ですが、解体される「政令市・堺」の議員として、その中身を問う議論をしなければなりません。また、「既成政治」(政党)を見事にやっつけた「維新の会」の議員の皆さんは、その多くの人たちがついこの間まで所属していた自民党的政治から脱却できているのでしょうか。少なくとも、堺市議会での「議会改革」実現の中で、確かめてみたいと思っています。
なお、2年前、橋下知事(当時)の全面支援によって(奇跡の)当選を果たしながら、ダブル選挙では「中立」を標榜した竹山市長との論戦は、30日(水)本会議で午後5時ころになる見込みです。また、「職員基本条例」と「教育基本条例」を提案する維新議員への質疑は、12月2日(金)本会議の午後です。