朝日新聞・関西スクエアが主催する「明日香村バスツアー」に参加しました。現地を案内してくださった西光慎治さんは、村教委文化財課の主任技師。今回訪ねた「牽牛子塚(けんごしづか)古墳」などの発掘調査を担当され、斉明天皇の陵墓であることをほぼ決定づける成果をあげた方です。発掘の際のエピソードを交えての説明は興味深く、牽牛子塚と越塚御門古墳、伝飛鳥板蓋宮跡、亀形造形物を見学後、奈良文化財研究所飛鳥資料館の展示も解説していただきました。
西光さんらの発掘調査により、牽牛子塚古墳は当時の天皇家に特有の八角形墳であることが判明。また、調査の際に偶然発見された「越塚御門古墳」は、大田皇女(おおたのひめ)の墓と見られ、日本書紀の記述に一致することから、考古学者のほとんどが牽牛子塚古墳を斉明天皇陵と確信したそうです。
ところが、別の古墳を斉明天皇陵としてきた宮内庁は考古学の成果を認めません。そのため、宮内庁が管理する陵墓のうち正しいと思われるのは、天武・持統、天智、応神、舒明の4陵だけ…とも言われています。(森浩一同大名誉教授)