8月21日(日)   朝からずっと雨。ときには激しく降りましたが、お陰で気温が大きく下がりました。

5日前に訪ねた室津の町並みは、入院先から車で20分ほどのところにあります。その室津で、昨日から「八朔のひなまつり」が始まっています。折よく堺や尼崎からの見舞い客があったため、皆さんを誘って見物に出かけました。
まず、オープニングイベントが催される賀茂神社へ。拝殿では、室の謡「棹の歌」保存会による古謡が演じられ、先日偶然に知り合った弁崎正明さんが大鼓を打たれました。続いて、筑前琵琶による平家物語の演奏と白拍子の舞が披露され、「清盛ゆかり」と言われる賀茂神社が、まさに平安朝の雰囲気に包まれました。
午後は、町の道筋に面した家々の玄関などに飾られたひな人形を見学。中にはお屋敷内に招き入れてくださるお宅もありました。八朔(旧暦8月1日)にひな祭りが行われるようになったのは、その昔、室津を支配していた室山城が、城主の弟の結婚式の夜(1566.1.11)、かねてから対立関係にあった龍野城主に急襲されて落城したという事件に由来します。その戦で非業の死を遂げた花嫁の鎮魂のため、室津の人々は3月3日から半年近い遅れの八朔まで、ひな祭りを延期したのだそうです。
今年は、町並み外の周辺施設を含め、33か所でひな飾りが公開されています。うち、賀茂神社から海駅館(江戸後期に廻船問屋として富をなした豪商「嶋屋」の遺構を活用した資料館)に至る15か所を拝見した後、大役を終えられた弁アさんと再会。「めったに降らない」という“雨の室津”を案内していただきました。

▼写真左=賀茂神社の拝殿で、白拍子を舞う井上由理子さんと、筑前琵琶を弾き語る大藪旭晶さん。
▼写真中=賀茂神社に近い町並みにある金澤家の玄関に飾られたおひな様。江戸末期のものです。
▼写真右=清十郎生家跡でガイド中の弁崎正明さん。かつて、室津郵便局の局長さんでした。
※この地域のおひな様に供えられているのは「しんこ細工」の鯛です。米粉を蒸して餅状にし、形を整えたもの。昔から、子供たちが作り、「鯛や」「鯛や」とふれながら町内各戸に配ったのだそうです。現在は、室津幼稚園の園児たちがその役を担っているとか。