9月5日(月)   台風12号が紀伊半島に残した豪雨の爪痕は、あまりにも無残です。

今日の大綱質疑で、私が市当局に突きつけたのは、がん検診の受診率と堺市が掲げる目標値のことです。
堺市は、市民の健康増進計画を定めたとして、2008年に「新健康さかい21」という冊子を刊行しました。その66ページに、がん検診の現状(2006年データ)と目標値(2012年=50%)が示されています。はたして、目標値に向かっているでしょうか。
前議会での議論にあたって、市当局が最新データとして開示した2009年の受診率と比較したところ、3年間のあいだに、子宮がん(17.3→21.7)と乳がん(10.5→17.4)の検診率は僅かに伸びました。しかし、胃がん(3.9→3.9)と肺がん(3.6→3.8)は横ばい。大腸がん(11.8→10.8)に至っては1ポイントの減少です。どの部位のがんにしろ、来年、目標値の50%に達するなどまったく想定することはできません。
なお、18ある政令指定都市の受診率と比較した順位は、胃がん16位、子宮がん8位、乳がん8位、肺がん13位、大腸がん12位。また、政令市のうち10市は、前立腺がん検診も実施しています。堺市は不実施ですから、比較すらできないのです。

●お題目でしかない堺市の「がん対策基本方針」
前議会で議論した市立堺病院の『堺市のがん』(がん白書)には、堺市民のがん死亡率は全国最悪レベルにあると記されています。ところが、市当局の実態認識は異なりました。私は、市の認識誤りを指摘し、「不適切だった」と訂正してもらいました。それでは堺市は、どのように市民をがんから守ろうとしているのかを、今日質したのです。しかし、答弁内容は「早期発見のための検診実施」。間違ってはいませんが、それだけではお題目にすぎません。検診率の実態は、目標値実現に向けての具体方針のなさを物語っています。がんに対する堺病院の危機意識と市当局の取り組みにギャップがあるのです。市長に対して、堺病院と健康福祉当局が共同してがん対策の基本方針を打ち立てるような体制をつくるべきだと提案しました。

●不育症対策では、助成金制度を実現した真庭市職員の思いを披露
また今日は、昨年12月議会で、市長が「ありようを検討する」と答弁した不育症治療への助成金制度についても議論しました。8月23日の治療終了後、岡山県真庭市を訪ねたところ、制度実現に尽力した保健師のひとり、大熊江美子さん(総括参事)が次のように言いました。
「もしも未熟児が生まれたら、ひとりの人間として最善の医療措置が講じられます。その一方、胎内で亡くなっていく命を助けることができなかったら、とても悲しいことです。不育症についての理解が広がって治療につながり、赤ちゃんが救済できることに、この制度の意義があると思います」
日々向き合っている市民の悩みを解決するために努力した大熊さんならでは言葉です。議場で紹介し、堺市にも悩んでいる市民がいるのだから、早急な対応が必要だと主張しました。

●公園条例の改正後、その施行が1年以上放置されている問題も議論
「昨年6月議会で改正された堺市公園条例が1年以上も施行されていない」…と、市民の方からの情報提供がありました。その方は、以前にも市の規則の不備を質し、堺市は全条例の見直しを余儀なくされたのです。その後も改まっていないミスについて議論しました。