「図書館と地方自治」と題する、慶應義塾大学教授・片山善博さんの講演が、堺市立女性センターで催されたので聞きに行きました。鳥取県知事や菅内閣の総務大臣を務めた片山さんは、「地方自治が自分のライフワークだ」とおっしゃいます。
講演では、ご自身が高校時代に学校図書館の司書の役割の大切さを感じ、知事になって小中学校や県立高校への司書配置に力を入れた体験を語り、また、「地域の知的拠点である公共図書館や博物館には長期的視点をもった人材が必要で、指定管理者制にはなじまない」とも強調されました。東京の企業に運営を任せたら地域が疲弊するとして、若者雇用、書店や喫茶店の経営などへの影響にも言及。さらに、図書館は新しい可能性を広げて自治体行政の課題を担うべきこと、市民が政治や行政に対して日常的に発言できる場が必要なことなど、興味深い問題提起もされました。
●竹山市長も「ポストの数ほど図書館を!」と…
今日の講演会は、「学びを広げる学校図書館の会」が主催。堺市教委が後援するものです。冒頭、来賓として挨拶に立った竹山市長は「学校図書館に力を入れたいと思っている。また、ポストの数ほど図書館があったらうれしい」と語りました。市長は挨拶の後も会場に残って片山さんの話に耳を傾けていましたが、講演を聞く前のこの発言は、主催者や協賛者として講演会の世話をされていた図書館運動に関わる人たちを励ましたことでしょう。
ちなみに、「ポストの数だけ図書館を」という言葉は、児童文学者の石井桃子さんが、著書『子どもの図書館』の章に付けられたもの。石井さんは、アメリカ・カナダ・イギリスの大きな市では子どもが歩いていける距離にひとつの図書館分館をつくるのが目標になっていると、この著書に書いています。その後の読書運動や児童図書館発展のスローガンとして使われてきました。