足摺岬の宿を発つ際、宿の主人が「関空の建設現場で働いた」などと声をかけてこられ、しばらく会話。今日は、昨日の道を打戻りです。窪津地区にあるTさん宅にお礼のため立ち寄った際、軒先の看板が目にとまりました。お子さんが小さい頃、「びわの木」という子ども文庫をしておられたのだそうです。また、昨日私を見送った後、東大阪市の知人に電話し、その方から「長谷川さんはいい仕事をしてる堺市議だ」と聞かされたとか。知人の方がホームページを見て下さったようで、恐縮しました。
茹でたての空豆をいただいて表に出ると、切り倒した杉の木を細工しているTさんのお兄さん(隣家に居住)に出会いました。それに、3人で話している所に外出先から自転車で帰って来た兄嫁さん(Sさん)は、昨夜の民宿で夕食のお世話をして下さった方でした。民宿の主人はご兄妹の叔父さんなんだそうです。
この民宿の夕食は、清水サバの刺身が評判です。一昨夜はシケのために魚を入手できず、カツオのたたきでしたが、今夜は用意してくれていました。調理の寸前まで泳いでいたという新鮮さ。この地ならではのごちそうを味わいました。
【歩行距離29q 37,441歩】
そのSさんから「武道をしておられますか?」と質問され、驚きました。「食事をしている後ろ姿がそう見えた」とおっしゃるのです。剣道選手を志していたご長男が、中学生のときに事故で亡くなられたことも伺いました。こんな出会いは、昨日、杖を忘れなかったら生まれませんでした。まさに「お大師様のお導き」と思うしかありません。お兄さんは、道行く遍路に休んでほしいと思いながら杉の木を加工されています。皆さんの暖かいご縁を得て、また歩き始めました。
●明日に備え、宿から8q先まで歩く
計画では、足摺半島の西海岸を回って戻るつもりでした。民宿いさりびの主人が「同じ道を戻って少し先まで歩いておくと次の道程が楽だ」と教えてくれたので、宿に荷物を預けて歩きました。なるべく車道を避け、田んぼの間の道を行きながら農婦と会話。朝夕の冷え込みで、稲の生育はあまりよくないそうです。行き着いた場所まで、宿の主人が迎えに来てくれました。
四国遍路・区切り打ち日記(第3回)
5月13日(月)第5日=足摺岬の宿〜久百々の宿〜真稔庵口〜久百々の宿