姫路市での「全国政策研究集会」では、「平和」をテーマとする分科会も設けられていました。参加した人から「講師の山中光茂さん(三重県松坂市長)の話に感銘を受けた」と聞き、会場で販売されていた著書を購入。初日の全体集会でのお話も興味深かったので、読み始めました。
「たかが一内閣の閣議決定ごときで」の書名には、「亡国の解釈改憲と集団的自衛権」との副題が付いています。国会で違憲証言した憲法学者の小林節さん(慶応義塾大学名誉教授)との共著の形をとっていますが、中味は2人の対談です。松坂市長は、慶應義塾大学法学部に在学中、小林教授の憲法講義に皆勤した「優秀な学生」(小林さんのあとがき)だったそうです。
■読みかじり著書=「まえがきに代えて」の一節…
「戦後の日本の平和は、決してアメリカとの軍事同盟」を通じた『抑止による平和』『核の核の傘』により守られてきたのではありません。(中略)『徹底した平和主義』をうたった日本国憲法とその根幹にある国民意思が、厳しく国家権力を抑制し、そしてその意思を国際社会に明確に提示し続けることにより、それぞれの時代背景に応じた国際社会や国内の政治情勢も振り回されることなく、世界に誇れる『平和国家』を、平和への具体的思いと行動の積み重ねにより創り育ててくることができたのです」
「そのような歴史的背景のもとで、七〇年にわたって『現実としての平和』が守られてきたという世界に誇れる日本のかたちが、安倍内閣という憲法の枠を乗り越えようとする『愚かなる為政者』の登場によって、今まさに壊されようとしています。
■小林名誉教授による「あとがき」の一節には…
「山中君の目線は、ヴェテラン政治家にありがちな、驕った、上から目線でも、また、大衆政治家にありがちな、大衆に阿る(おもねる)ものでもない。彼はあくまで優しい。だから、彼の回りには人垣が絶えない。今回は、この優しい山中君が本気で怒っている。彼は権力者こそが遵守すべき憲法を蔑ろ(ないがしろ)にしている安倍総理に対して本気で怒っている」
■「違憲確認」の提訴意向…他方、議会との対立で市長辞職へ
山中市長は、現在39歳。慶大法学部卒業後、群馬大学医学部に学士入学して医師免許を取得。2004年から「NPO法人少年ケニアの友」の医療担当専門員としてケニアでエイズプロジェクトの立ち上げなどに関わった後、2007年に三重県議当選。2009年、現職の3選阻止を掲げて松坂市長選に当選(全国最年少)し、2013年に再選されました。ところが、市立図書館の改修計画で市議会と対立。関連予算も否決されたため、今年3月に辞職を表明しました。市民の間で市議会解散請求の署名集めが行われたものの法定数に満たず不成立。そこで今月13日に辞職願を市議会議長に提出し、9月30日に辞職することになっています。
なお、昨年7月、「集団的自衛権を行使を容認する閣議決定は国民の平和的生存権を保障する憲法に反する」として、違憲確認を求めて提訴する意向を表明。その後、市民団体「ピースウィング」などの活動を始めています。
8月23日(日)今日は「処暑」。でも、天気がよくなって31.8℃。夏の終わりはまだまだ…