症状はすっかり落ち着きました。昨夕の検温で37.1℃となり、もしかしたらと思いましたが、不快感がないためそのままに。以後はずっと36℃台でした。
また、今日は朝からずっと気分爽快で、朝昼夕3食とも完食。体調は信じられないほどよくなっています。点滴も1日4回となり、それも短時間で終了するので、ほとんどの時間、体にチューブがつながっていません。ただ、主治医の行動制限が解かれておらず、まだ病室から出ることはできないので、ベッドの柵をつかみながらスクワット。退院後の活動に備えます。
テレビ報道から、地震被害のすさまじさ、むごさがどんどん明らかになっています。救助活動にあたる隊員の背やヘルメットに「堺市消防局」の文字をみつけました。困難な状況の中での精一杯の働きに期待したいと思います。
昨日同様に自覚できる「病状」はないので、一日を気持ちよく病室で過ごしています。また、報道番組やクラシック、ドキュメンタリー以外のテレビ放送には興味が湧かず、午後はのんびり過ごそうと思っていた矢先、1時に妻からLINEが入りました。「NHKで『生きる』があってる」(あってる=福岡ことば)。すぐさま電源ボタンを入れ、それから2時間半近く、ずっと鑑賞させてもらいました。
ある市役所の市民課長(志村喬)が胃がん(末期)を患い、生きる希望を失って欠勤を続けているさなか、市役所を辞めるつもりの若い部下(小田切みき)とまちで出会って、それを契機に余命(半年)の間に自分がなすべき仕事に気づきます。各課の縄張り意識と「何もしないないのが仕事」と公言する役人たちが、たらい回ししながら放置してしてきた「公園をつくって」という陳情を実現することを決意。実際に公園建設に至るというストーリーです。
雪の降る日、実現した公園のブランコで命を終えた主人公の通夜の席で、取材に訪れた記者たちに対して主人公の業績を認めず、むしろ成果を横取りしようとする助役の姿。陳情した主婦たちや、最後の姿を目撃しながら救護できなかった警察官も焼香に訪れます。助役が退席後、残った市役所職員らの酔いがまわるにつれ、その会話を通して主人公の最後の仕事ぶりがどれほど粘り強く、またすさまじい行動力で困難を切り開いていったかが描かれます。その姿を「鏡」としようと誓ったかに見えた役人たちが、また元の「事なかれ主義」に戻っているのがラストシーンです。
「さすが、巨匠・黒澤明監督」。放送終了後に強烈に印象付けられました。1952年に公開されたこの映画について評判を聞いてはいたものの、実際には鑑賞するのは初めてです。主人公はもとよと、伊藤雄之助、左卜全など懐かしい名優たちの演技にも魅了され、しばらく余韻にひたりました。ちなみに、視聴中に点滴にきた看護師さんに黒澤監督のことを聞くと、「七人の侍」を知っているとのこと。ご自身が観た白黒映画では「オードリー・ヘップバーンが魅力的だった」とも話されていました。
さて、最初に書いたように病状は確実に回復期に入っていると、自己判断しています。明日の血液検査や担当医の所見に希望をもちながら、今日も3食、完食しました。