長谷川俊英14年の市会議員活動 (5ページ)
長谷川ノートの記録から、学校を舞台とした主な“事件”の抜き書きです。
●校長先生合作「ウソップ物語」(産経新聞の見出しから)
きっかけは、自宅に届いた1通の封書だった。「うちの校長が宇都宮市で開かれた校長会の全国研修大会に出席した後、無届け旅行をしたらしい…」。市教委で調べたら該当する校長は数人いた。いちばん手近な学校を訪ね、校長室のソファーに座わると、すぐそばの本棚の「東北ドライブマップ」と「絶好の日塩もみじライン(だったか?)という2冊の本が目についた。
話を聞き始めたら、校長の顔色が変わった。しかし、かつて市教委にいたこの校長は、言い淀みながらも、だんだん厳しくなる私の質問に答え、研修大会の最終日程をエスケープして同行の校長らとドライブ旅行し、土湯温泉に1泊したことをあっさり認めた。出張旅費は、翌日に福島県の某中学校を訪問するという名目で、1泊分が余分に支給されていた。
念のため、その中学校や、立ち寄ったはずの野口英世記念館に電話で確かめたら、先方が「何のことか?」と驚いた。つまり、「訪問」は、温泉旅行の費用を捻出するためのウソだった。
あまりにも単純で大胆なごまかし方にあきれながら調査を進めると、水増しカラ出張事件はこれで終わらなかった。不正は数年にわたって市内の大半の学校で行われ、教頭や主事の場合にも同じ手口が使われていた。幹部自らが関わった事件だけに市教委の腰は重かったが、議会での厳しい追及の結果、122人(9割)の小中校長が関係していた事実が判明した。
また、同様の事件は他市にも及んでおり、府教委が2年分を調査し、378人の校長、教頭らに対して合計1200万円にのぼる不正受給の返還を命じた。  (1988.11〜12)
●PTA会費の流用など、学校運営には問題がいっぱい
各学校のPTA会費の額が大きく異なることが気になって、市教委に提出されている決算報告書を全校にわたって点検した。義務教育公費負担の原則に基づいて、支出禁止の通達が出されている学校運営経費への支出が目についた。運動会の祝儀などを裏金にして、まるで「校長交際費」のような使い方をしている学校もあった。調査結果を認めた市教委が通達の徹底を図るとともに、「祝儀は一切受け取らない」ように指導した。このため、日ごろは私を目の敵にしている同僚の市議たちから、「お陰で助かった」と予期しない感謝をされたりもした。
この他にも、校庭をわがもの顔に占拠する教員の通勤自動車、標準服や体操服の業者との癒着、クラブ活動費のごまかし、不明朗な物品購入など、学校運営をめぐる数々の問題をとりあげて、改善を実現した。なかには、不正出張事件のように、「こんなこと許されない」との思いを抱いた関係者からの内部告発もあったが、一種の閉鎖社会になっている学校の弱点をかいま見た思いがする。  (1985.6) (1989.3)  (1989.6)
●許せないこどもたちへの人権侵害
繰り返される体罰や時代錯誤の校則
徹底した事実調査と、「体罰防止マニュアル」の提案
議員になる前だが、先に書いたマンモス中学のクラブ活動でこどもが死亡した。部員数が多いため卓球台が足りず、炎天下のランニング中に事故が起こったという事情が悲しい。それに、体罰事件が後を絶たず、別中学では「丸刈り強制」の校則さえ生き残っていた。
まるで人権感覚のない教師や学校には、現場に乗り込んで事実調査や議論をした。真実を隠そうとする教頭が事実を告白するまでのやりとりを、そばで聞いていた被害生徒の父親は、「まるで検事の取り調べのようですね」と驚いていた。そして議会では、「体罰防止マニュアル」の作成を提案。市教委もこれに応じて作成し、全校に配布した。 (1990.12)
(1990.9) (1987.6)
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