堺は、中世、世界に開かれた貿易都市として発展を遂げるとともに、町衆が治める自由・自治都市として繁栄し、進取の気風に満ちあふれていた。その中で多くの優れた茶人が生まれ、なかでも千利休は、わび茶を大成し、茶の湯の文化に大きな足跡を残した。また、当時の茶道具が堺環濠都市遺跡の各所で数多く発掘されていることから、豪商など一部の者に限らず、広く茶の湯を楽しむ文化が根付いていたといえる。
茶の湯は、美術、工芸、書画、生花、料理、菓子等の幅広い分野にわたるものであり、世界に誇るべき日本の文化として連綿と息づいている。
堺では、茶の湯を楽しむ文化が受け継がれ、現代においても、市民、事業者等によって様々な茶会が催されるとともに、茶の湯に触れ、楽しむ機会が設けられている。私たちは、これからも千利休が重んじた、もてなしとふれあいを大切にする茶の湯の精神を理解するとともに、これを次世代に引き継いでいかなければならない。
ここに、私たちは、改めて堺が千利休のふるさとであることを誇りに思い、茶の湯の精神が息づくまちをめざすことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、市民、事業者及び市が連携及び協力をし、本市において茶の湯の精神を広く浸透させることにより、市民の豊かな心の醸成及び都市魅力の向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 本市の区域内(以下この条において「市内」という。)に居住し、又は市内に所在する学校、事業所等に通学し、若しくは通勤する者をいう。
(2) 事業者 市内において事業活動を行うものをいう。
(3) 茶の湯の精神 互いを敬い、思いやりの心を持ち、ふれあいの時間及び空間を大切にする精神をいう。
(市民の役割)
第3条 市民は、茶の湯の精神を理解し、もてなしの心を持って来訪者に接するとともに、ふれあいの時間を大切にするよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第4条 事業者は、茶の湯の精神を理解し、もてなしの心を持って来訪者に接するとともに、茶の湯の精神の浸透に資する取組を推進するよう努めるものとする。
(市の役割)
第5条 市は、茶の湯の精神を浸透させるための文化、教育、観光、産業等の振興に係る施策に関し必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、市民又は事業者が行う茶の湯の精神の浸透に資する取組に協力するよう努めるものとする。
(連携及び協力)
第6条 市民、事業者及び市は、連携及び協力をし、茶の湯の精神を生かしたまちづくりの推進に努めるものとする。
附 則
この条例は、平成 年 月 日から施行する。
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