健康福祉委員会の最後の議論テーマは、「副反応疑い報告書」の開示請求に始まる市民Sさんの奮闘と、市当局の対応です。
堺市の副反応被害を知るため、Sさんが開示請求したのは2021年12月。翌年1月に公開された報告書は、症状や報告者意見などの全部を黒塗りしたものでした。Sさんは情報公開審査会に審査を求め、審査会の答申によって市当局は公開部分を増やしました。
健康福祉委員会では、まず、再公開された報告書があったからこそ議会での議論ができたことを確認。次に、堺市情報公開条例の第1条(目的)を示し、市当局の最初の黒塗り公開は「市民の知る権利」を阻害したと指摘しました。また、その過ちがありながら、2度目の文書公開でもSさんから手数料を徴収したのは妥当かと追及。「情報提供」として返金措置をとるべきだ主張しました。ただ、Sさん自身は「2回払ったことなど大したことではない。それより、副反応被害で生活困窮している人を救済してほしい」と表明されています。
次に、後遺症被害者Bさんが自身の「副反応疑い報告書」の開示を求めた際の市当の対応について質しました。「書留郵便」で配達されても、ベッド生活のBさんの受取は困難です。たまたま訪問したSさんが「不在配達票」を見つけて郵便局へ。しかし、委任状がないので代理受取はできませんでした。結局Sさん宅に転送して、再度Bさん宅に持参するという複雑なルートで届くことになりました。
「寄り添った」つもりで、「寄り添い切れていない」と指摘。当事者の事情を思いやった対応が必要ではないかと主張しました。
それにしても、情報公開をめぐる市当局との闘いから被害者の支援まで、Sさんの行動力と温かくて強い意思に敬服するばかりです。