《2009.1.30》
(706)
※1月29日以前の日記は、前ページに掲載
1月30日(金)朝から降り出しそうだった空。午後からの雨が、夜には激しくなりました。
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今朝の朝日新聞と毎日新聞、読売新聞に、昨日、大阪地裁であった指名停止業者への随意契約を問う住民訴訟のニュースが報じられています。あらためて判決内容を見てみると…
【主文】原告(住民)の請求は認められませんでした…
@中小企業クラスター工事進行の差し止め請求、水道管布設工事進行と請負代金支払い差し止めの請求は却下する。A中小企業クラスター工事の請負代金支払い差し止め請求は棄却する。B訴訟費用は原告らの負担とする。
【裁判所の判断=その1】指名停止業者と随意契約した堺市の行為について…
@被告(堺市長ら)の「指名停止業者との随意契約を締結することは違法ではない」という主張は、採用できない。
A指名停止業者との契約が他の業者との契約と比較して有利な事情があるというだけでは、堺市の要綱にいう「特にやむを得ない事由」には当たらない。
B隣接工事現場での工期の重なりはまれではなく、堺市工事の入札業者が清水建設との間で工事工程の調整を行うことが不可能であったとは認めがたく、施工責任の一元化が要請される事情もうかがえない。
C隣接地でのシャープ工場建設を清水建設(指名停止業者)が請け負うことは当初から判明しており、指名停止中の同社との随意契約は要綱で厳しく制限されているのに、堺市は同社以外に発注する検討・準備を漫然と怠っていた。
D堺市は、当初から清水建設との随意契約のみを視野に入れて準備していたと推認され、同社でなければ契約履行、目的達成が極めて困難な事情があったとみることはできない。
E被告らは他都市でも指名停止業者との随意契約が行われていると主張するが、堺市外の政令市16市中、6市以外はそのような例がないと回答している。また、6市においても本件のような事例はなく、指名停止業者との随意契約を例外的に許容する事情は見いだしがたい。
Fしたがって、クラスター工事について指名停止業者と随意契約を締結する「特にやむを得ない事由」があったとはいえず、この工事に係る随意契約は違法という評価を免れない。
【裁判所の判断=その2】違法な随意契約が私法上の契約を無効にするか否かの検討…
@随意契約が違法であっても、私法上(現に清水建設と堺市が締結している契約)は当然に無効となるものではない。当該契約の効力を無効としなければ随意契約締結を制限する法令の規定趣旨を没却する特段の事情が認められる場合に限り、無効となる(最高裁判例)。
A指名停止業者との随意契約を禁止する法令規定はなく、市要綱における契約担当者の裁量制限の例外要件である「特にやむを得ない事由」の範囲を緩やかに解釈する運用基準が定められ、市議会でも契約締結が賛成多数で可決されている。
B市議会に反対意見があったとはいえ、当時何人の目にも違法が明らかであったわけではない。また、相手方の清水建設が契約締結が許されないと知っていたわけでもないから、この随意契約が私法上無効とまではいえない。
【裁判所の判断への評価】
裁判所は、水道管布設工事が昨年8月に完了し、クラスター工事も間もなく終わるという時期に、工事や代金支払を差し止めることは現実的ではない判断したのではないでしょうか。しかし、「法の番人」として、堺市のコンプライアンス無視を許すことはできなかったのです。市長は、この司法判断を厳粛に受け止め、反省しなければいけません。
●明日午後3時〜 原告団などへの報告会を開催
原告や支援者などに弁護士から裁判結果を報告し、今後の対応を協議する会合が開かれます。ご関心のある方は、ぜひご参加下さい。1月31日(土)午後3時〜、長谷川俊英事務所
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ところできょうは終日、地方議員セミナー「地方議会の制度と運営の実務」に参加して、野村稔さん(元・全国都道府県議長会議事調査部長)のお話を聞きました。