●堺市教育委員会が「見解」を発表
最初に質問に立った自民党委員の質問に答える形で、堺市教育委員会の委員全員が一致した見解を教育長が朗読。その内容を要約すると、およそ次のようなものでした。
@教育の本質と政治的中立の観点から、条例案は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(地教行法)に反し、政治介入を戒める教育基本法の趣旨にも反する。
A教育に対する首長の関与について、首長が目標を定め、それに基づいて教委や学校が目標を定めるシステムは、教育行政の中立を担保する教育委員会制度を否定するもの。
B教育行政と民意の反映は、現行制度において、教育委員の任命制度、首長の予算調製と議会議決、学校評議員の設置などで担保されており、他の方法でも民意の反映に努めている。
C結論=本条例案は、教育行政における政治的中立性を否定し、教育関連法規に抵触する恐れがある。将来にわたり、本市の子どもたちの教育に望ましい影響を及ぼすと考えられず、是認できない。
●自民党の質疑委員に対して、提案者(維新の会)の異常攻撃
驚いたのは、提案者への質疑を続ける自民党委員に対して、維新の会議員が「今日は“議員間討議”だ。質問するなら、その前に自分の考えを言え」と迫ったこと。まるで、この4月に初当選したばかりの高木佳保里議員(南区)を脅しているかのようにも見えました。もっとも、高木議員が答弁者からの攻撃に動じることなく、堂々と質問を続けたのにはいささか感服しました。
●答弁者の発言態度は「会議規則」に違反すると指摘
維新の会議員の異常な発言態度には、他の委員からも異論が出ました。私は、質疑の冒頭で、委員長席の副委員長に「一つ教えてください」と切り出し、今日の文教委員会を「議員討議の場」とする事前協議などなかったことを確認。ならば、維新議員の発言は、会議規則第50条3項(質疑に当たって自己の意見を述べることの禁止)に違反すると指摘。当該議員の隣に座っている委員長がたしなめるべきで、条例提案の前に会議規則を勉強してほしいと付け加えました。
●「教育基本条例案」の問題点と大阪府議会の動き
続いて、本会議での維新議員による提案理由説明や答弁の要点を取り上げ、条例案が教育基本法や地教行法に抵触していること、蓄積された法律解釈を検討することもせずに独善的に条例案が作成されていることなどを指摘。また、ほぼ丸写しの「大阪府教育基本条例案」について、新知事が再検討を表明し、取り下げ検討の新聞報道があることを披露して、堺市議会への提案時には想定しなかった事態となっており、「撤回すべきではないか」と迫りました。
●採決の結果は、反対7・賛成1=否決
質疑に続く討論では、まず維新の会委員が「賛成」、続いて公明、ソレイユ(民主他)、自民、共産が「反対」を表明。文教委員会の採決結果は、賛成少数で「否決」です。なお、維新の会委員の発言には、「今議会で結論を出すのではなく、十分に時間をかけて、それぞれの立場からさまざまなご意見をいただき、時代に応じた新たな教育制度を構築する起点としたい」との下りもありました。だったら、取り下げが妥当な対処方法で、会派内に迷いがあったのかもしれません。
12月8日(木)朝から夜まで、一日中ずっと雨。気温はお昼まで11℃、その後10℃です。
文教委員会での「教育基本条例案」をめぐる議論は、午後1時15分から始まりました。委員長が大阪維新の会堺市議団に所属するため、質疑の間は副委員長が委員長席に着き、委員長は他の維新議員(5人)と共に答弁者席に陣取るという異例の会議進行となりました。質疑を行ったのは、自民、公明、共産、ソレイユの各委員と委員外議員が2人。その最後が私です。