●政権に尻尾振る?維新の修正合意
質問者の最後は、維新の会の松浪健太議員。同議員は、質問を終えてから、自民、公明、維新による修正案について説明しましたが、修正内容は維新が主張していた「取り調べの可視化」を検討することを附則に盛り込むという程度のもの。このような維新の対応は、「与党による強行採決」という批判をかわしたい自民党に“貸し”を作り、安倍政権との親密さを増すことが目的だろうと察するほかありません。
●「共謀罪廃案」を主張する民進党
次いで、民進党の逢坂議員が、同党と自由党が共同提案した「組織的犯罪処罰法改正案」の趣旨説明をしました。逢坂議員の発言内容は、民進党のホームページに次のように要約されています。「政府が提出しているいわゆる『共謀罪』法案に対しては、多くの国民が不安を感じ、国民的な理解が得られているとは到底言えない状況であり、断じて賛成することはできない。そもそもTOC条約(国連組織犯罪防止条約)は、包括的な『共謀罪』など創設せずとも締結することが可能であり、さまざまな問題をはらむいわゆる『共謀罪』法案は直ちに廃案とし、早急にTOC条約を締結すべきものと考えている」。「組織的犯罪対策については、われわれとしても非常に重要であると考えている。わが国における最近の組織的な犯罪の実情等に鑑みると、一定の犯罪類型については、予備の段階から処罰することが国民的な合意となっているものと考え、この法律案を提出することとした」。
●田原総一郎さんの指摘
ところで、ジャーナリストの田原総一郎さんが朝日新聞のインタービューで、「安倍晋三首相は共謀罪について『一般人には全く関係ない』と強調するが、同じ言いぶりで始まったのが、治安維持法だった」と語っています。そして、「ジャーナリズムの存在意義は波風を立てることだと思っている。いまはその逆。だから、今こそ言論の自由を体をはって守る時。安倍首相にはこう問いたい。『共謀罪はどこまで国民のプライバシーに入り込むのか』、『自民党の誰もがあなたのたいこ持ちになっている。危険ではないのか』と主張。いま、「テロ防止」に名を借りた共謀罪の強行成立が企てられていますが、私自身も国民の一人として見過ごすことはできません。