改めて、リコール運動の原因となった政務活動費不正支出の構造をみると、登場人物は3人です。
このうち、小林由佳議員は堺市長から詐欺罪などで刑事告訴されています。また、「印刷・配布業者」の吉田誠也氏は、百条委員会への出頭拒否罪で堺市議会が告発。これらの被疑事件は、いずれも捜査機関に受理されています。
昨日、議員辞職した黒瀬大氏は、3人の関係者の中で、ただ一人、告訴や告発の手続きを受けていない人物です。にもかかわらず、辞職を決断した背景には一体何があったのでしょうか? また、何故、小林議員は辞めないのでしょうか?
●堺市長選を控えての「維新の選挙対策」
私は、9月10日に告示される堺市長選挙を有利に進めたいとの大阪維新の会の思惑が全てだと思っています。この間のリコール署名運動の進展で、「元維新の会」の2人の不正に対する市民の理解は深まり、怒りもいっそう高まっています。最近では、「維新党員だ」と名乗り、「だから辞めてほしい」と言いつつ署名する人さえ出てきました。
維新幹部が「このままでは市長選に悪影響が出る」との危機感を抱き、2人を辞職させた上で、北区、西区での市議補選にも候補者を立て、市長選の得票増を企てた…というのが私の見立てです。それに、2人に替えて維新候補を当選させたら、市議会の維新会派も2人増員できますから、それも「成果」となるでしょう。
除籍処分後もずっと「維新仲間」だった黒瀬氏は、そんな幹部の強い働きかけを受け、もしかしたら生活保障の約束を取り付けて応じたのかもしれません。だったら、夫が維新府議でもある小林議員が同時に議員辞職しないのは何故か? 正直なところ分かりません。
●リコール請求代表者が「声明」
ともあれ、この事態を受けて、リコール請求代表者4人が、今日、次の声明を発表しました。
▼私たちが、リコール運動に取り組んでいる2人の市議のうち、黒瀬大氏が昨日、議員辞職願を提出しました。黒瀬大氏と小林由佳議員が、もっと早く自己の責任を自覚して辞職していたら、私たちの運動は不要でした。とはいえ、第1期署名収集期間が終了した8月7日の直後に黒瀬氏が辞職手続きをとったことは、リコール運動の高まりがそれを促したものと思っています。
▼6月17日以来、炎天下の署名収集活動に奔走して下さった受任者の方々、また、怒りを込めて署名して下さった多くの市民の皆様、さらに活動の応援に駆けつけて下さった皆様にも、心から感謝を申し上げます。
▼この上は、多額の政務活動費不正支出に加え、議会の辞職勧告決議を無視して居座り続けている小林由佳議員も、直ちにその職を辞するべきだと考えます。
▼黒瀬氏の議員辞職に伴い、西区における「堺市議会議員・黒瀬大解職請求」の署名活動は、その目的を達したので終結します。なお、小林由佳議員が依然としてその職を辞さないのなら、私たちは、第2期署名期間(9月25日〜10月4日)に備え、北区での法定署名数の確保に向けて最大限の取り組みを進めます。