昨日の健康福祉委員会で、最初に議論したのは、「APD」への行政対応です。「小3のわが子がAPDかもしれない」。今年6月に保護者からご相談を受けるまで、私は「APD」のことをまるで知りませんでした。関係図書を購入したりネットで調べて、「聴力検査では異常がなく、音や声は聞こえるのに、状況によって音声を言葉として聞き取れない症状」だと理解できました。「Auditory
Processing Disorder」の略語で、大阪公立大学病院の坂本浩一先生(医学部准教授)が著した『マンガでわかるAPD』には、「ほかの人は気にならない程度の雑音や複数の人が同時に話をするときなどに聞き取れないことがよくあります」、「これまでは専門家にもあまり知られていませんでしたが、現在は、この症状を持っている人は人口の割合的にも少なくないことがわかっています」と記されています。海外での研究報告で「学齢期の子どもの約3%に症状がある」とのNHK報道もあったようです。
いずれにせよ、堺市議会ではこれまで議論されたことがありません。市教委や障害福祉部に調査を求め、自分でもさまざまな情報を調べて、9月の健康福祉委員会での質疑に臨みました。
教室等で教師が発信器を首にかけて使用し、児童の補聴器で受信する補聴援助システムが開発されています。市教委の調査によると、4小学校が学校管理費で発信器を購入していました。保護者の要望に応えたもので、2校はAPD児童のためです。ただ、学校管理費予算にゆとりがなく購入できない場合も考えられます、市教委は、「貸出システムを検討する」と答弁しました。
また、障害程度が軽く手帳交付に至らない難聴児のため、各自治体が補聴器購入費用支給要綱を定めています。しかし、堺市の要綱は「聴力30デシベル以上」と規定しており、聴力検査で異常がないAPD児は対象外です。調べると、新潟市と岡山市、奈良県などが、要綱に「ただし、医師が装用の必要を認めた場合は対象とする」旨を追記。堺市でも同様措置をとることを求めたところ、「他市の実績や状況を調べ、事業効果を検討する」とのこと。多分に消極的です。学校ではすでに、「合理的配慮から必要」として対応している事実を認識し、教育の機会均等を損なわないよう要綱改定をめざすことを求めました。