●はじめに
質疑は、本来、提案者と審議者相互における言論やりとりによって深化させるべきもので、文書によってこれを表すことの妥当性について、いささかの疑念があります。しかし、議会運営委員会の進行上、これを契機に論理性に裏打ちされた高度の議論が展開されることを期待して、委員長の要請に応えることにしました。
●提案各会派への共通の質問
1.本提案が、議会諸役員の交代期において、いわゆる「与党会派」の共同提案という形で提出された理由は何でしょうか。
2.本市議会の運営等に係る諸案件について、昨年度来、「議会のあり方に関する調査特別委員会」において検討を加えてきたことはご承知のとおりです。この特別委員会での検討事項としての提案ではなく、議会運営委員会での審議事項として本件を提案されて理由は何でしょうか。
3.日の丸や市旗を議場に飾ることは、議事運営上、どうしても必要ですか。また、飾らなければ、議事運営上、どのような支障を来すでしょうか。
4.私は、堺市議会がこれまで、他市等において例があるにもかかわらず、日の丸その他国民的に議論を分かつ「象徴」を飾らず、自由な言論を保障する場所としての議場の雰囲気を保ってきたことを誇りに思っています。また、このことは、中世からの伝統を有する「自治都市・堺」として、なにものにも侵されない「市民自治」を実現する場としての「堺市議会」の実現を企図する各議員の叡智と自覚によるものだと考えています。このような私の考え方は間違っているのでしょうか。
5.「国旗及び国歌に関する法律」が制定されたことは事実です。ただ、制定に当たっては、多くの賛否議論があり、国会でも強い反対意見を押し切って可決されたものであることもご承知のとおりです。この状況を踏まえ、1999年8月9日の「内閣総理大臣の談話」では、「今回の法制化は、国旗と国歌に関し、国民の皆様方に新たな義務を課すものではありません」と断っています。「日の丸」に親しみを感じる議員や市民が居る反面、歴史観や宗教観、個々の良心に基づいてこれを受け入れがたいとする議員もいるのです。すべての議員が心を合わせて歓迎できる状況にないことを、強引に実現したいとお考えですか。
6.私個人の見解を申し上げれば、「日の丸」への崇敬を押しつけ、「君が代」の斉唱を等しく強要するような動きは、かつてわが国が道を誤って世界大戦に至らせた歴史の過程をなぞるものだと思っています。昨今、自衛隊の海外派遣、多国籍軍への参加など、憲法上は保持しえない「軍隊」の活動が公然化しています。他方、住民基本台帳ネットワークシステムや盗聴法の制定など個人情報の国家的把握の進行によって、国民一人ひとりの基本的人権を危うくしながら、国家有事への協力態勢を整えようとの動きが進行しています。このような流れの中で今回の提案を考えれば、提案される皆さんの真意を確かめざるを得ないのです。各会派あるいは、会派内の各議員によってもお考えが異なるかもしれません。その相違を含めて、私の見解に対する真摯なご回答いただけることを望みます。
●フェニックス民主議員団への質問
1.例えば、札幌市議会に同種の提案がなされた際、「民主党・市民の会議員団」は、これに反対する討論(別紙参照)を行っています。もちろん、すべての方が民主党員でないことは存じ上げた上の質問ですが、この討論内容と貴会派の見解は、どのように異なるのですか。またその理由は何ですか。
2.民主党が先の総選挙の際に公表した「マニフェスト」によれば、「人権が尊重される社会をつくります」の言葉に続いて、「盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法など、国家権力による人権侵害のおそれのある現在の法制を見直します」と書かれています。このような政策の基本指針は、先述した「私個人の見解」に近いものです。貴会派に所属される民主党籍をお持ちの議員の方々は、それでも、反対者に対して「日の丸」を受け入れることを求められるのでしょうか。
3.貴会派の議運委員からは、会派内の女性議員の同意が得られない旨のご表明がありました。その方々は、どのような理由で貴会派が「会派」として提案された内容に同意されないのでしょうか。
4.会派内に、それほど強く反対の立場を取られる方があるのに、あえて「提案会派」になる道を選ばれた理由は何ですか。また、「提案会派」になることについて、反対しておられる議員は同意されたのでしょうか。
(公明党議員団、自民党・市民クラブへの質問など→次ページに続く)