●公明党堺市議会議員団への質問
公明党の綱領詳細には、その第一に人間主義を掲げられ、「政治の使命は、生きとし生ける人間が、人間らしく生きる権利、つまり人権の保障と拡大のためにこそあります。十八世紀以来の人権尊重の歴史的推移は、まず国家権力の干渉から個人の諸権利を守ることを主眼とした市民的・政治的自由権の確立として出発。次に国家に人々の生活の保障を求める生存権・社会的基本権へと発展。そして今日においては、平和にしても開発にしても、すべては究極目的である人権の実現――人間が人間らしく平和に幸せに生きることの保障である、との位置付けがなされるに至っています。まさに人権の実現を至上の目的価値とすることこそ、二十一世紀の日本と世界にとって不可欠の理念であると考えます。」とうたわれています。
また、この綱領に基づいて、「世界人権宣言第29条」を尊重されるとのご答弁を、6月17日の議会運営委員会でいただきました。同条第2項には次のような記述があります。「すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当っては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。」
公明党議員団として、日の丸の掲揚を必要だとお考えになったとしても、この人権宣言の言葉に基づけば、それを拒む立場の人にまで押しつけることは妥当でしょうか。かねてより「人間主義」とともに「平和主義」を掲げられ、また権力による宗教迫害と闘われた関係者も多いと聞くお立場で、今回の提案について再考していただくことはできないでしょうか。
●自由民主党・市民クラブへの質問
本件を提案されるに当たって、次のような提案理由を述べられました。
「国旗は、いずれの国でも国家の象徴として大切に扱われており、国家にとってはなくてはならないものと考えています。また、市旗は市民の間に定着することを通じて堺市民のアイデンティティの証として重要な役割を果たしていると考えています。もとより、この法律の制定以前から国旗としての日の丸は日本の慣習として国民に受け入れられていましたが、国旗及び国歌に関する法律が制定され、すでに5年を経過しようとする現在においては、他の政令市等においても議場に国旗を掲揚する機会は増えており、もはや自然に受け入れられる状況になったと考えています。また、本市においても、国旗・市旗掲揚マニュアルを制定し、本庁舎、支所等の重要な施設に国旗、市旗が掲揚されるとともに、小中高等学校においても、学習指導要領にしたがい、入学式や、あるいは卒業式の際に国旗掲揚、国歌斉唱が徹底されています。以上のことから、本市議会においても、国旗及び市旗常設掲揚することが妥当であると判断し、議会運営委員会に提案するものであります。」
この提案理由について、次の点をおたずねします。
1.国旗・国歌法の制定後5年を経過して「もはや自然に受け入れられる状況になったと考えています」と述べられ、これを「受け入れがたい」と思う人々の存在をお認めになっています。その人々がいなくなったとお考えでしょうか。
2.たしかに、公立学校における入学式や卒業式の際に日の丸掲揚、君が代斉唱が行われるようになったことは事実です。しかし、これは自らお認めのように、学習指導要領に従っての「指導」に由来するもので、教職員や生徒、児童、保護者らの自発的意思の反映ではありません。また、指導を徹底すべきことを、貴会派所属の議員はしばしば主張してこられました。強制した立場から、「国旗」や「国歌」への国民の敬愛が深まったという思考は、奇妙ではありませんか。
3.自由民主党の「理念」にも、「人格の尊厳」や「基本的人権の尊重」がうたわれています。先に公明党のご見解もうかがった「世界人権宣言第29条」の規程に基づいて、反対の立場にいる人々の権利をも認めようという、寛容な気持ちをお持ちにはなりませんか。
●その他の会派への質問
現段階では、上記以外の提案会派の個別のお考えを十分に伺っていないので、後日、あらためておたずねします。
以 上