きょうは、市民グループ「見張り番」代表世話人の松浦米子さんを講師に迎えて、「自治体議員勉強会」を開きました。河南町議の小山彬夫さんと淡路市議の坊下正修さんが初参加。関心が高かったようで、議員だけでなく市民や学生の方々もたくさん出席して下さいました。「議員は、いい条例づくりに力を注いでほしい」「市民は、知らないのが当たり前」…と、16年間、鋭く大阪市政と対峙してきた松浦さん。
ややもすると、孤立した自己満足型スタイルになってしまうケースが見られる「オンブズ」活動を、400人の会員が参加する市民運動として持続させているこの人のすごさに、あらためて感服しました。
昨日の
朝刊各紙が、「堺市倫理条例、骨抜きの危機」を報じました。共同通信でも配信されたようで、全国から注目が集まっています。あらためて、この問題を議論している議会運営委員会のメンバーをみてみると、23年前の条例制定時に在籍していた議員は、私と
平田晶議員(自民党堺市議団)の2人だけです。汚職議員の居座りを認め、自浄、自律の能力を失った市議会に対して、4万5730人の市民が制定を求めた倫理条例は、日本で初めての資産公開制度を実現しました。当時、平田議員は最後まで“抵抗勢力”だったのですが、多数の議員が市民の求めに応じたことによって、条例は成立しました。その歴史的な重みや、市民と議会が体験した貴重な関係を、私は忘れることができません。
いま、安易に「政治倫理条例」の廃止や弱体化をねらう人たちは、いったいどのような認識を持っているのでしょうか。3年前の市議選で当選したある議員は、福岡市議会の視察に参加した後、自らのホームページで次のような主張をしています。
●福岡市の条例は、資産公開が本人の他、配偶者や扶養親族にも及ぶという厳しい内容でしたが、私は、個人情報保護の流れから言うと、むしろ問題があるのではないかと思いました。政治倫理を条例で律するというのは、そうしなければ政治倫理が担保できなかったという実態(堺市も福岡市も政治倫理にもとる事件が条例制定の発端)の裏返しでもあり、けして自信できるようなものではありません。「議員は悪いことをするもの」という考えを前提にしたかのような、私的情報の公開請求はいかがなものでしょうか? 議員は公職ですから、倫理性が問われるのは当然ですが、プライバシー保護の観点からは私的部分の公開は必要最小限にすべきものと思います。まして、別人格の配偶者や扶養者親族にまで公開を求めるというのは、行き過ぎも甚だしいと思いました。条例などでしばらなくても、ちゃんと倫理性が保たれる社会の実現をめざすことが本筋であり、規制を厳しくすることが評価されるような一部の風潮は大いに問題ありです。
この議員は、同様のことを「会派の意見」として会議の場で表明しています。「倫理を条例で規制するのはいかがなものか」とも発言し、先の平田議員が「その通り!」と叫んでいました。実はそのような理屈は、条例制定に「反対」の立場をとった当時の市長と同じ主張です。
堺市での条例制定後、閣僚の資産公開が始まり、国会議員の資産公開につながりました。全国で約400の自治体にも広がっている同種条例は、市民の関心が高まることで「資産隠し」の防止措置が進み、福岡市のように配偶者や扶養親族分の公開にも及んでいるのです。また、堺市民がお手本にしたアメリカの「政府倫理法」では、大統領や国会議員、高級官僚などが、やはり配偶者や扶養親族を含む資産や収入の公開を行っています。
この制度は、政治家に集まるお金の流れを透明にすることによって、政治腐敗を防止するものです。繰り返される不祥事に対抗する人々の知恵を、監視されて不愉快に思う議員の心情によって否定してしまうことを、市民の皆さんは容認されるでしょうか。