昨日、廣田邸を辞す際に頂いて帰った35株のポット苗をあり合わせの鉢やプランターに植え替えて、事務所の前に飾っていたら、お向かいの方から「さくら草ですね…」と声がかかりました。
午前中は事務所で来客や電話相談。午後、市役所で議会運営の調査や、先日来取り組んでいる教育問題で市教委と協議。時代と人は変わっても、組織体質を変える道は遠いようです。
シャープ進出を理由に強行した、約10億円の随意契約発注について、住民監査請求の結果が発表されるというので、昼過ぎに登庁して発表文書の提供を求めました。
●予想どおりの監査結果と、これを推察していた市民の皆さんの思い
監査結果は、「よって、指名停止業者である清水建設との本件各請負契約締結については、違法でも、不当でもないと判断する」。……この結論は、監査請求した市民の皆さんの予想どおりのものでした。だからこそ皆さんは、きょうの結果を待つことなく裁判所の判断を求める訴えを起こしたのです。被告となった堺市長らは「監査結果が出る前の提訴は不適法だ」と主張して、「訴訟却下」を申し立てました。しかし、
4月17日のアクション日記に書いたように、初公判の法廷で裁判長が、「審理を進める」と表明しています。なお、原告となった市民らが監査結果の出る前に提訴することになったのは、一日も早く「工事中止」の判決を得て、市民が被る損害を最少にしたいとの思いよるものであることは、言うまでもありません。
●市民の思いに応えた弁護士さんたちの知恵と、原告らの行動
地方自治法に定められた手順では、住民監査請求の後に住民訴訟を起こせることになっていて、これを「監査請求前置主義」と言います。ところが、大阪高裁が1981年に、たとえ監査請求を経ていない提訴であっても、「本件口頭弁論終結時までに右監査の結果の通知を経たことにより、右瑕疵は治癒される」との判決を出していることに弁護士さんが着目しました。そこで原告らは、裁判所の先例判断に基づいて行動を起こし、監査結果が公表される前に公判が開始されるという事態となったのです。まあ、そのことから考えれば、堺市監査委員の方々には、ともかく裁判所の審理継続に必要な役割を果たしていただいた…と言えるかもしれません。
●堺市監査委員の怠慢な審査とお粗末な言い分
とは言え、4人の監査委員(吉川敏文、大毛十一郎、木戸唯博、小杉茂雄の各氏)が示した監査結果の理由は、極めてお粗末です。指名停止業者への発注を禁止する堺市規定の例外となる「市民の利益にかなう」場合の判定を、彼らは次のように述べています。
「このような随意契約を締結することで、クラスター事業及びシャープの堺進出による経済波及効果、税源涵養、雇用創出効果を本市が享受することによって市民の利益にかなうとの市長の判断は、本市の政策判断についての市長の裁量を考慮すれば、合理的であると認められる。」
「経済波及効果、税源涵養、雇用創出」…。監査委員は、堺市側の言い訳理由の根拠を検証することもなく、それを鵜呑みにしました。また、そんな「取らぬ狸の皮算用」より、“コンプライアンス”(法令順守)を貫くことが「市民の利益にかなう」と訴えた請求人の声に耳を貸さず、「市長が判断すれば、すべて正しい」と言うのです。これでは、「責務を果たした」とは言えません。