「体験的・議会改革論」(その8)
都市政治研究所ニュース・レターbQ9(付録)
6 「議会のあり方に関する調査特別委員会」での議論
堺市議会に復帰して最初に取り組みはじめたのは、議会の改革である。選挙に際しては、未曾有の財政危機に直面しながら、これへの対処ができない市議会を批判して支持をうけた。そしてまず、市民の関心が集中した「会議出席費用弁償」(1日=1万円)の廃止を提案して、切り込んだ。
初議会でこれを可決に持ち込むことはできなかったが、議員の待遇をはじめとする改革に着手することを誰も否定できなかった。改革を検討するための「議会のあり方に関する調査特別委員会」の設置が全会一致で可決された。「議会改革」を市民に公開して論じあう場所ができたわけだ。
また、この特別委員会では、従前の議会運営方法を変えて、議員同士の議論を基本とした進行を行い、発言時間の制限を設けない自由な議論を行うことが確認された。いずれも、本稿のはじめに紹介した、政治倫理条例を審議する特別委員会の前例を踏襲したものである。
そして、何よりも注目したいのは、特別委員会の運営方法を話し合うために開いた「理事会」で、「議会改革を行うためには、何よりも市民の声を聞かなければならない」という発言が、自民党に所属する議員からあったことだ。この発言は、まさに正解である。私の乏しい体験を通じていえることは、議会を内部からの力だけで変えることはなかなかむずかしい。
鳥取県議会が片山知事の発言から変わりはじめたといわれるように、分権志向の強い個性ある知事の影響によって、三重県議会や宮城県議会でも改革が進んでいる。「二元代表制」をわきまえた首長が、議会のあるべきすがたを求める言動をすれば、「首長与党」などとうそぶいて古い体質を温存している議会多数派も変わらざるを得ない。
しかし残念ながら、そのような首長の数も、また少ない。ならば、市民にその役割を期待すべきだ。議会がみずから改革をめざすなら、まず議会を徹底して公開し、市民に参加を求めるシステムをつくるべきであろう。