長谷川俊英14年の市会議員活動  (10ページ)
無駄づかい、違法行為…お役所仕事には目が離せない
★公共工事図面(青写真)発注…5年間で1億5千万円の無駄づかい
堺市が民間業者に、建築図面や台帳の青写真焼き付けを発注する際、業者が単価を見積もる前に市が一定の価格を提示していたため、業者に競争させた場合よりも、最高で約4割も費用が割高になっていた。1989年まで8つの業者に高い価格を提示していたが、90年に新たに1業者が参入し、このため市の提示額よりも低額の見積もりを出した業者があったために、やむを得ず見積もり最低額で契約する方式に改めた。
議会で指摘する前に、過去5年間、90年の価格で発注していたらいくらになったかを試算してみた。その額およそ1億5千万円。ある業者に聞くと、「民間取引だったら90年価格よりもっと安い」と言う。無駄づかいの額まで示しての追及には、市幹部も「今後、最少の経費で最大の効率を図るよう対応したい」と改善を約束せざるを得なかった。  (1990.3)
★納税貯蓄組合に過剰補助金…見直しで1億円近い節約
もしかしたら、まだ同じような無駄づかいが残っている自治体があるかもしれない。堺市が納税貯蓄組合に交付している補助金の額を調べていて、同一規模の組合なのに1人当たりの補助金額が、最低677円、最高68,636円と、100倍以上もの格差があることに疑問を感じた。そこで、372組合のうち補助金額上位10組合の決算を点検すると、6組合が「総会費」や「研修費」の分まで補助を受けていた。
市当局は当初、「これらの経費も欠くことのできないもので補助対象になる」と、予算委員会での私の指摘を突っぱねた。しかし、納税貯蓄組合法に基づく補助対象は「人件費」や「事務費」で、堺市の補助金支出は違法である。それに、「多額納税組合は補助金を組合員への還付金としている疑いもある」と厳しく責め立てた結果、11日後の同じ予算委員会で、補助金の交付基準を根本的に見直すことを表明した。これによって、補助金総額で1億円近い節約ができた。  (1992.3)
★国保料納付組合にも「違法」の疑い
市民が何かを求めたとき、法令規則を盾にして難色を示すのはお役人たちの得意技。ところが、上記の納税貯蓄組合の例のように、自分たちがやっている“違法行為”にはなかなか気づかないようだ。もっとも、気づいていても知らぬ顔をしたり、屁理屈をこねて言い逃れをするのもまた習い性だ。
堺市の国民健康保険料は、かねてより98%の高い徴収率を維持していたが、これは、各小学校単位に設立されている「国民健康保険料特別納付組合」によるところが大きく、徴収率が高いことは悪いことではない。ただ、この組合は国保加入者の全員加入を原則としていた。国保料は組合の集金担当者が集めるため、「銀行振込で支払いたい」という市民の声は無視され続けた。「共稼ぎで家にいないから」とか「近くに住む集金担当者に家の中をのぞかれたくない」などの理由で、銀行振込希望の声がいくつも届いたので、調べてみた。
この種の組合に関する規定が民法にあって、あくまで「任意加入」が原則とされている。また、「組合の業務執行は組合員の過半数をもって決める」との定めもある。しかし、堺市の規則は「区域内の国保料納付義務者(被保険者)全員をもって構成する」となっており、組合運営は役員だけで行っていた。その役員も一般組合員から選出されるのではなく、被保険者以外の連合町会長ら地区の有力者が独占していた。
議会でその事実を指摘したら、市当局はさすがに問題があることを認め、「早急に改善する」と答え、その後、口座振替、自主納付、納付組合の3とおりの方法での納付ができるようになった。 (1985.9)
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