石田さんは、市議会議場での会議のほか、いくつか委員会もみてきたようで、そこでも市民が発言する機会が設けられていたという。
なお、私の訪米時に聞いた「1人3分、抽選で10人を選ぶ」が「2分、15人」に変わったのは、発言希望者が多くなり、機会均等をはかったものと思われる。バークリー市と姉妹都市提携を結んでいる堺市の国際部に調べてもらったところ、現状では議会開会直後の30分を市民の発言時間とし、当日議場にならんでいる人すべてに発言権があり、希望者が10人以下なら1人2分、10人を超えると1分としているそうだ。また、「Yield」といって、自分の持ち時間を他人に譲ったり複数の人の持ち時間を合わせて長く発言することも可能だという。
写真3(上) バークリー市議会の議場
正面中央が市長で、左右に8人の市議がならぶ。対面する傍聴席の定員は123。
(無防備地域宣言をめざす京都市民の会提供)
8 地方主権の確立は「住民主権」で…
大阪維新の会が掲げる「One大阪運動」では、「市民運動を超えた政治運動」や「ローカルパーティが府庁、各市町村の施策を一つの方向に束ねる」ことが、「政治が果たすべき役割」だという。しかし、地方分権は、強力な個性を備えた首長とそれを支持する議員たちの手に権力を委ねることではないはずだ。「お任せ」で地域主権を確立するのではなく、より多くの住民が参加し、地域住民がこぞって自治体政治にかかわれるような仕組みづくり(参加民主主義)を改革の根底に据えるべきである。
二元代表制のもとにあって、議会が住民にとって有用なものであると認識してもらえるような改革が求められている。また、住民が議会をとおしてその意向を地域政治に反映しつつ、自分が住むまちの行政への関心を高めていけるような政治の実践が必要だ。
バークリー市で、私が「自己PRのために発言する人がいるのでは?」と質問した折、市長補佐官のロビン・オーデンさんが、「自由な発言機会があって、それによって市民の目が議会にむけられるなら、(多少の無駄も)民主主義にとって必要です」と答えたことを思い出した。
写真4(左) バークリー市議会の傍聴席
要求内容を書いたプラカードを掲げる市民もいるが、ヤジなどはない。
(無防備地域宣言をめざす京都市民の会提供)