「体験的・議会改革論」(その6)
都市政治研究所ニュース・レターbQ9(付録)
(4) 議会公開のさまざまな手法
申し上げるまでもなく、議会の公開方法は傍聴制度だけではない。議会活動の様子を住民に知らせるための積極的な工夫や取り組みがなければ、その関心を高めることはできない。
@会議録のネット公開
堺市議会では、比較的早い時期から委員会の会議録も速記者を入れて作成し、公開している。いまだに要点筆記のままの自治体もあるようだが、委員会審議の制度をとる以上、審議状況を記録に残して公開することは必然であろう。
10年間、堺市議会をブランクにしている間に改革が進展したと思われる数少ない事例のひとつは、庁内LANによって会議録が読めるようになったことだ。93年度以降のものという限定ではあるが、もちろん検索システムもついている。関連する発言事項を調べることがたやすくなって、復帰後初めての議会でも、他の議員の発言記録を探しだして、それを根拠に議論をしかけることができた。
ただ、庁内LANを用いてのアクセスしかできず、自宅や事務所のパソコンを使ってみることができない。いうまでもなく、市民には利用ができないシステムだ。インターネットによって、誰もがアクセスできる体制を早急につくるべきことを主張している。
A会議のテレビ放映
バークレー市のラジオ放送のように、議会の様子をCATVなどを利用して広く流せば、わざわざ議場に足を運ばなくても住民に審議状況を伝えることができる。
たとえば、広島市議会では、91年から本会議の一般質問を録画して放送している。ビデオテープの貸し出しをしているから、各議員がそれぞれ開催する「議会報告会」などで大いに活用されていると、行政視察の折に聞いた。
また、役所の市民ロビーなどにモニターを備え、開会中の議会の様子をライブで流せば、通りかかって興味をもった人を傍聴席に呼び込むことだってできるのではないか。
B議会報の発行と編集の工夫
堺市議会はいまだに独自の「議会広報」をだしていないが、住民に議会活動を宣伝するための広報を発行するところが増えてきた。
しかし、果たして興味深く読まれているだろうか。莫大な印刷経費や配布経費を支出するだけの効果的PRが行われているかどうか。いささか疑問に思うものが多い。
最大の原因はその編集方法にある。「特定議員の宣伝にならないため」との理由からか発言者の名前が掲載されていない。「各会派に平等に…」ということで、会派構成人数に応じて行数を按分し、これに基づいて紙面割りを決めるという自治体もある。こんな制約が優先されるようでは、読者の興味を引くような紙面づくりは不可能に近い。「どうすれば読んでもらえるか」。広報づくりの本質を見極めて発行しなければ、それこそ税金の無駄遣いにすぎない。
最近の自治体広報は、ずいぶん読みやすくなった。いろいろな工夫がこらされ、また、全住民に配布される媒体としての広告利用もあって、財政貢献さえしている。レベルアップのためにコンテストなどが行われているようだが、議会広報についても同様のことを試みてみたい。